妊活ダイアログ CHIKAさん Vol.1

この企画では、経験者の声、お医者さんの言葉、

妊活や不妊治療にまつわるアレコレを綴ります。


どんな未来が待っているんだろう。

あなたのいろんな未来の可能性を見つけてみてください。




はじめまして。34才、元アパレル店員のCHIKAと申します。

結婚5年目の現在、夫婦で苦戦しながらも前向きに不妊治療中です。

仕事と妊活の両立や、不安やもどかしさを感じている方に少しでも共感してもらえたり、時にクスッと笑って、一瞬でも楽しんでもらえるよう思いをつづれたらと思います。




妊活のはじまり


私は現在34歳。高校を卒業後すぐに上京して服飾の専門学校へ通い、その後はアパレル一筋で15年間働いている。

20代になったばかりの頃の私は、アルバイト先で出会ったダメ男に入れ込み、“不毛な恋”を“生きがい”と勘違いをして日々を過ごしていた。勘違いに気づいた時には20代も後半戦に突入……。

「このままではダメだ!」とそんな恋に終止符を打ち、その教訓をいかして「次に付き合う人と30歳までに結婚して、海外セレブみたいな結婚式をする!」と堅く決意、婚活をスタート。


それからは“出会い探し”という名の合コンざんまいの日々。思ったようにうまくはいかず、疲れ果てて諦めかけていた頃、友達に紹介されたのが今の旦那だ。

一目で恋に落ちた私は、猛アタックの末にお付き合いまでこぎつけ、すぐに彼と同棲をはじめた。さらには親を巻き込んで「一緒に住んでいるなら籍を入れてくれ!!」と急かし、無事入籍することに成功。目標にしていた30歳を2ヶ月過ぎたが、籍を入れた1年後、思う存分にこだわりを発揮した念願の結婚式は、人生で一番楽しい日になった。



“結婚”という目標を達成した後は、夫婦の時間を楽しむべく、旅行に行ったり、共通の趣味である美術館巡りや、映画を観に行ったりと存分に好きな事をして過ごしていた。

日頃から、夫婦の間で「子供が生まれたらどこに行きたい」とか「こんな映画を見せたい」と話題にあがることが多かったこともあり、少しずつ子供の存在を意識し始めていた。そして結婚式から4ヶ月後、「子供ができた時のために」と広い家へと引っ越し、いよいよ本格的に子作りを開始。


しかし半年たってもまったく子供ができる気配はない。まだ見ぬ我が子の名前も考えて、少しでも生理が遅れようものなら「今度こそできているかもしれない!」と夫婦でソワソワしていたが、毎回しっかりと生理がやってくる。

何がいけないのかわからないまま、ただ月日だけが過ぎていった。


今考えると本当に考えが甘かったなと反省しているが、当時は特に何も調べず、適当に“妊活”をしていた。基礎体温すら記録せず、毎月来る生理をただアプリに入力して、なんとなく排卵日を調べ、なんとなく排卵日あたりにチャレンジするという、それはもうゆるい活動。それでも当時の私には不安も焦りもなかった。



妊活を開始して1年後、さすがに「自分たちだけではどうにもならない」と思い、医学の力に頼るべく病院を探すことに。調べていくうちに、世の中の不妊治療を受けている人の多さに愕然とした。そして自分が“不妊”に当てはまるかもしれないことにも驚いた。

どこかで自分には関係ないと思っていたのでショックだったが、悩んでいる時間もないので、とにかく家から近い婦人科の病院へ行ってみることにした。


初めての病院の先生は男性だった。女性の先生がよかったが「下調べが足りない自分のせいだ」と言い聞かせ、とりあえず通院することに。

妊活を始めたばかりということもあり、まずは私だけがいくつかの検査をし、特に問題も見られなかったので、不妊治療の第一段階と言われる“タイミング法”からスタートすることになった。


“タイミング法”とは、何回か通院しながら妊娠の可能性が高い排卵日を予測して、その日にチャレンジすること。

不妊治療は高額なイメージしかなかったので、病院へ行くのを渋っていたのもあるが、ラッキーなことに排卵日が近かったので2、3回の通院だけで初めてのチャレンジができた。

初めての不妊治療で、最初のステップをクリアした後は、ただただ生理がこないことを祈って生理開始予定日がすぎるのを待つ、もどかしい日々を過ごした。



ところで、私はPMS(月経前症候群)が重い。胸が張り、「乳首が取れるのでは?!」と思うほどの痛みや、立っていても寝られるぐらいの眠気、頭がカチ割れんばかりの頭痛など、毎回PMSによって気分や体調がブンブンに振り回される。

生理の予定日を待つ間、今回もまたPMSらしき症状があったが、いつもとはちょっと違っていた。あいかわらず乳首は痛いが、先端だけがピリピリする。あとは脚の付け根にもつっぱるような痛みがある。


『妊娠初期症状』と検索すると同じような症状が出てきた。

「これは絶対に妊娠しているに違いない」と思ったが、あえて口には出さず静かに過ごした。言葉にするとなんだか嘘になるような気がしたからだ。ひたすら待ち続け、生理予定日をちょうど10日過ぎたその日、検査薬を試してみた。

思った通り、クッキリと妊娠を知らせる線。


「やっぱり……」


意外にも冷静な自分に驚いた。待ち望んでいた事なのに予想していたからか、なぜかまったくの他人事みたいに思えて、全然実感がわかなかった。旦那に妊娠していた事を告げると「よくやった!!」と声をあげて喜んでくれたが、その姿を見てもなお、実感はわかなかった。



数日後、改めて病院に行くと「妊娠してますね」と言われた。


ーーーはい、知ってます。


なんてもちろん口にはせず、一通り今後の説明を受けた。

どうも先生がしっくりきておらず、転院しようと決めていたので、先生に心の中で感謝と別れを告げた。


後日、大きな病院に行った際に、紹介状がないため初診料で5000円も支払うはめに。毎度ながらの自分の下調べの悪さがあだとなり、何も告げずに先生と別れたことを心から後悔した。

そんな自責の念を引きずりながらも、いつもとは違うあわただしく変わっていくであろう日々へ、ほんの少しの期待を込めた夏が始まった。




(文/CHIKA)

※この連載は個人の体験です。治療や薬の処方などに関しては必ず医師に相談してください。

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