妊活ダイアログ CHIKAさん Vol.3

この企画では、経験者の声、お医者さんの言葉、

妊活や不妊治療にまつわるアレコレを綴ります。


どんな未来が待っているんだろう。

あなたのいろんな未来の可能性を見つけてみてください。





妊活の再スタート


人生で初めての妊娠と流産を体験して以来、なんとか普通の生活を送れるまでにはなっていたが、しばらくは妊活を再開する気になれずにいた。


アパレルの仕事にも復帰していたが、私が担当していたブランドの店は妊婦さんや、子供連れの来店が多く、メンタル的にかなりキツかった。

妊婦さんを接客するたびに、どうしても「羨ましいな…。私も今頃こんな風になっていたはずなのにな。」と思ってしまう。


慣れているはずの仕事なのに、余計な事ばかり考えてしまい思うように働けず、日々疲れていた。「あの時こうしていれば…。」とか「あの時に重たい荷物を運んだのがいけなかったんじゃないか…?」などの無限ループ。


同僚と話している時は気が紛れるので、本当に仲間には救われていた。



仕事に復帰してから半年後、そんな気持ちも落ち着きはじめ、周りの出産ブームと旦那の強い希望もあり、妊活を再開するために以前とは別の産婦人科に通う事に。

先生に事情を話すと「一度妊娠している実績があるから妊娠しやすいと思いますよ。とりあえずタイミング法からやっていきましょう。」と言われ少し安心した。


治療を再開し、最初に”卵管造影”という卵管に造影剤を入れ、卵管が通っているかを調べる検査をした。

事前に先生から「個人差はあるけど人によっては痛みがあります。」と説明を受けていた。


痛いと言ってもそこまでだろうと甘く考えていたら検査後しばらく歩けないほどの激痛。「もう二度としたくない!!」と心底思ったし、その場で先生に言ったら苦笑いされた。


さらに、生理後に排卵を促すための排卵誘発剤を飲む事になったのだが、こちらも先生からの説明で「まれに副作用が出ることがあるから、つらい場合は次回から弱いものに変えましょう」と言われた。


薬を飲み始めてからしばらくして、今まで感じたことのないほどの虚無感に襲われた。気持ちが落ち込みすぎて、まるで自分が自分ではないような感覚にビックリした。



再スタートした妊活に早くも疲れてしまった私は、再開から3ヶ月ほどで通院を断念。一度通院を諦めてしまったらなかなか再開出来ずにいた。


そんな時に、とあるご縁があり猫を飼うことに。

元々猫や犬が好きなのでわかっていたが、とてもかわいい。ただただかわいい。世界一かわいい。もうひたすら愛猫を愛でる日々。メロメロのデレデレ。幸せでしかない。



その時期、通院はしていなかったのだが、一応なんとなく自己流で妊活をしていた。

しかし愛猫によって母性本能的な部分は満たされてしまっていたので毎月生理が来てもあまり気にしていなかった。


しかし旦那は違った。不妊治療で有名な産婦人科の情報を仕入れてきたり、周りの不妊治療している人の話を聞いたりと、ものすごく熱心に向き合っていた。

私にも色々と得てきた情報を話してくれるが、やる気を失いかけていた私はあまりちゃんと考えられずにいた。



そんな日々を過ごしているとある夜、同じ家にいるはずの旦那から長文のLINEが。その時私は猫とソファでゴロゴロしていたので何事かと驚いた。

内容は「妊活について旦那の熱い子供への想いと、私がのらりくらりとしている事への怒り」がしっかりとこめられていた。


「おぉ…本気度がすごいな。妊活は奥さんの方が積極的っていうけど、うちは状況が逆な気がする…。」



きちんと話し合いをして、「こんなに真剣に考えてくれているなら、そろそろちゃんとやりましょう。」と再々開する事になり、また新たな病院探しが始まった。


今度は産婦人科ではなく不妊治療専門の病院をメインに探し、家から自転車で通える距離にあるその道で有名な病院に通う事に決めた。

さっそく病院に問い合わせると、「初診の予約を取るのに1ヶ月待ちです。その予約の電話も月末の朝8時にかけて下さい。」と言われて気が遠くなった。


予約の電話の当日、言われた通りに朝から電話をした。しかし何度かけても繋がらない。人気アイドルのコンサートなみに繋がらないので2人で交互にかけた。諦めかけていたその時、くじ運のいい旦那の電話がやっと繋がった。無事に予約ができたが、初診は1ヶ月後とのこと。

「1ヶ月か…。」また妊活から心が離れそうな気がしたが、今回は今までで一番本格的な専門医院に行くので色々な期待で少しワクワクしていた。



1ヶ月後、いざ病院へ。最初は不妊治療をしていくにあたっての説明があるとのことで夫婦揃っての来院をお願いされた。

人気の病院だけあって待合室に人が多かったが、今までと違うのは妊婦さんも子連れの人もいないことだった。それがなんだか居心地がいいなと思った自分にハッとした。


流産してすぐは、婦人科で妊婦さんや子連れの人を見ると、羨ましいと感じていたが、最近はそれも気にならないと思っていた。

けれど、心のどこかでまだ意識していたことに気付いて、「ここにいる人達は、みんなそれぞれ理由は違えども、目的は一緒なんだよな。」と思い少し安心できた。


私たちは小さい部屋に呼ばれ、看護師さんに今までのことをヒアリングされた後に今後の説明を事細かく受けた。

タイミング法、人工授精、体外受精のステップの話や、治療をするまでに受けるたくさんの検査、お金の話など、今までなんとなくしか知らなかったことがどんどん明確になっていった。


話を聞いてみて、とにかく通院の回数も多く、やることもたくさんあるしお金の負担が増えるので旦那さんの協力なしには難しいだろうなと思った。幸いうちの旦那は協力的なので大丈夫そうだが、そうでなかったらすでに諦めそうな内容だ。


とにかく最初は血液検査ばかりだった。血管が出にくく、毎回看護師さんを困らせる私にはとても憂鬱なスタートだ。しかしここをクリアしないと次のステップに進めないので、「検査で自分のことを詳しく知るためだ!」と決心して検査に挑んだ。



流産から3年目の冬、やっと前に進めた気がした。




(文/CHIKA)

※この連載は個人の体験です。治療や薬の処方などに関しては必ず医師に相談してください。

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